オウカンミカドヤモリの卵巣腫大
今回は、卵がうまく形成されずお腹の中に溜まってしまったクレステッドゲッコーさんの症例をご紹介します。
飼い主さんからは「1〜2週間前から食欲が落ちている」「お腹が張ってきた気がする」と相談があり来院されました。
診察すると、体はやせているのにお腹だけが不自然にふくらんでおり、レントゲンでは体腔内の白い影、エコーでは大きくなった卵胞が2つ確認されました。
卵が排卵されずに成熟し続けると、卵胞内で変性が起きて炎症を引き起こし、命に関わる状態になることがあります。
今回の子も食欲が落ち、体重も減少し始めており、このままでは危険なため手術を行うことになりました。
全身麻酔をかけてお腹を開くと、左右の卵巣の大きさに明らかな差があり、左卵巣はパンパンに膨れ上がっていました。

卵巣・卵管を丁寧に摘出し、無事に手術は終了しました。
退院時には表情もしっかりしていて、飼い主さんも安心した様子でお迎えに来てくださいました。

爬虫類の生殖器疾患は、初期は「少し丸い気がする」「最近あまり動かない」程度の変化しか出ないことが多く、気づいた時にはかなり進行しているケースも少なくありません。
普段とどこか違う、そんな小さな変化を見逃さないことが、大切な家族を守ることにつながります。
心配なことがあれば、いつでもご相談くださいね。
2025年11月16日 18:59
